RPGはプレイヤーがマップを移動し、ストーリーを進めるゲームといって異議を唱える人はいないでしょう。
そのため、ゲーム制作者にとってマップ制作は欠かせない工程であり、さらにストーリーを考える上で、これら2つをどのように紐付けていくかが、ゲーム制作をスムーズに進められるかの鍵になります。
この記事では、マップ制作とストーリー構築を同時に進めることのメリットを解説し、どうすれば効果的にストーリーに沿ったマップを作成できるかを探っていきます。
マップが先か?ストーリーが先か?
どんなストーリーであれ、RPGのマップ移動は不可欠な要素なため、両方とも大切です。
そこで、マップを作ってからストーリーを書くべきか、それとも逆にストーリーから書いてマップにを作っていくべきか、という疑問が出てきます。
結論から言うと「同時に進める」のが安全だと思われます。
同時進行に進めることで、制作者にとっては
- 自然なストーリー展開を考えられる
- パーティーから離れたはずのキャラがイベントに出てくるなどを防ぐ
などが得られ、プレイヤーにとっても
- 同じ場所の往復を回避でき、ゲームの単調さをなくす
- ストーリー上ではまだ行くことができない、意図しないエリアに移動を防ぐ
などのストーリーに起因する不快な体験を減少させることができます。
同時進行のメリット・デメリット
マップとストーリー同時進行で進めていったほうが安全だよ、という話しましたが。一緒に進めていくメリット・デメリットを見ていきましょう。
メリット
- ルートの可視化(ストーリーの流れがわかりやすくなる)
- 往復の軽減(同じ場所を行ったり来たりが防げる)
- 誘導と行動制限(プレイヤーのルート外のエリアの進行を防げる)
- エリア多様性の向上(似たようなダンジョンなどの密集を防げる)
- アイテム配置の均一化(アイテムの配置の偏りがなくなる)
- 場所の明瞭化(地点などの場所と設定が覚えやすくなる)
デメリット
- ストーリーの制約(マップに影響されすぎてストーリーが作りづらくなる)
- 新たなルートの追加(別のルートが増えれば、新たにストーリーを考える必要がある)
- 開発の複雑さの増加(マップの変更が頻繁に発生することで、開発の複雑さが増す)
デメリットもありますが、メリットの恩恵が大きいためデメリットの対策は考えないことにします。
同時進行の6つの恩恵
では、6つのメリットについて解説していきましょう。
1. ストーリーの流れを丸分かりに【ルートの可視化】
マップ制作によるルートの可視化は、「ストーリーの流れ」を一目で把握することができます。
つまり、制作者がストーリーを考える際、キャラクターたちの動きやイベント発生の順序を正確に把握することができるということです。
ルートの可視化をすることで、制作者はストーリーの進行を高い視点で把握でき、全体像を確認することができます。これにより、ストーリーの整合性や調和が向上し、プレイヤーにとってもストーリーが理解しやすくなります。
次のに挙げるものが理解なります。
- キャラクターの移動や出会い(キャラの登場やパーティー編成など)
- 戦闘の展開(ボス戦や強制戦闘など)
- プレイヤーにとって魅力的な冒険の構築(クエストやサイドストーリーなども含む)
このように、マップ制作は制作者がストーリーを効果的かつ効率的に進めるための大切な工程であり、ゲーム全体のクオリティ向上につながります。
2. 同じルートは単調なゲームに【往復の軽減】
同じ場所を何度も通ることで、プレイヤーは新しい発見や隠されたアイテム、エリアを見つける可能性があります。これにより、ゲームの探索要素が向上します。
一方で、同じ場所を繰り返し通ることは、プレイヤーにとって単調さや退屈さを感じるかもしれません。そのため、冒険の興奮が薄れる可能性があります。
「同じ場所を繰り返し通ること」の単調さを防ぐのもマップ制作の役目です。
例えば、A→B→Cというルートを組んだとき、最初のA地点に戻ることになったら、同じ場所を通る必要があります。
そうなると、一度慣れている道を進むことになり、冒険感がなくなってしまいます。
もちろん、サブイベントやクエストなどで同じ場所を何回も通ることは問題ないでしょう。あくまでもメインストーリーで同じ場所を何回も通るのは避けたほうが望ましいということです。
プレイヤーがメインストーリーを進めていく上で、同じ経路やダンジョンを通ることは、ストーリーの進展を遅らせる要因となり、ゲームの面白みがなくなってしまいます。
そこで、A地点に帰る際に別のルートを用意しておいたらどうでしょう?
C→D→Aという感じで、新しいD地点を通るので冒険感が出てきます。
このようにマップ制作の段階で、ストーリーが停滞するのを防ぐことができます。
3. 障害物を置いて、自然なストーリーに【誘導と行動制限】
プレイヤーが冒険の途中にストーリーの進行とは関係ないエリアに入る可能性があります。
そこで「プレイヤーの誘導と行動制限」というテクニックを使います。
誘導と行動制限は、ゲーム制作者がプレイヤーにゲーム内でどの方向に進むべきかを示す手法です。
例えば、進んではいけないルートに岩や木などのオブジェクトや、許可書がないと道を通してくれない門番を配置したりすることです。
この手法を使えば、プレイヤーのルート外のエリアへの進行を防ぐことができ、自然なストーリー展開を維持できます。
また、ストーリーの重要なポイントやキーアイテムのあるエリアへの誘導としても機能します。例えば、主人公が次の目的地に向かう際に、特定の街やダンジョンに誘導することでストーリーが進行させます。
つまり、ストーリーを考えると同時に、マップ制作で誘導と行動制限を計算に入れれば、プレイヤーが制作者の意図しない行動を未然に防ぎ、ストーリーの整合性を保てます。
4. 「迷いの森」「人喰いの森」「暗闇の森」はおもしろい?【エリア多様性の向上】
似たような場所が連続して登場すると、プレイヤーは退屈してしまい、ゲームの楽しさが損なわれます。
例えば、「迷いの森」というダンジョンを進んだ後、「人喰いの森」、さらに「暗闇の森」という似たようなダンジョンが連続して出てきたらどうでしょうか?
同じようなダンジョンが続くと飽きてしまいますよね!
プレイヤーにとっては山や洞窟、遺跡や迷宮など、多種多様なダンジョンを冒険したいはずです。
つまり、ストーリーが進むにつれて新しい町やダンジョンを登場させ、プレイヤーが常に新しい挑戦に直面できるようにすることがRPGには不可欠ということです。
町やダンジョンなどのバリエーションを増やすことは「エリア多様性の向上」につながり、プレイヤーに新たな興奮をもたらします。
これを実現するためには、似たようなエリアが連続してないようストーリーを考慮しながらマップ制作をする必要があります。
5. もし序盤の村で、レアアイテムが手に入ったら?【アイテム配置の均一化】
同じ場所に、まったく同じアイテムが配置されると新しい発見がなくなり、プレイヤーの期待感ない単調なゲームになってしまいます。
また、ある場所ではアイテムが集中しすぎたり、逆に他の場所ではまったくアイテムが見当たらないと、プレイヤーがアイテムを収集する喜びがありません。
さらに、序盤のエリアで高性能なアイテムやレアアイテムが過剰に配置されると、ゲームバランスが崩れてしまいます。例えば、レベル1のスライムにエクスカリバーで倒せるようになってしまったら、ストーリーを進める楽しみがなくなります。
このようにアイテムの偏りを防ぎ「アイテム配置の均一化」をするにはマップ制作で、どの場所にどんなアイテムが存在するかを計画しておくことです。そうすれば、プレイヤーは適度な難易度でストーリーを進めることができます。
6. 場所が覚えやすいと、ストーリーも覚えやすい【場所の明瞭化】
町やダンジョンなどの地点の把握は、ストーリーを理解しやすくするために欠かせない要素です。
そのためには、やはりマップが必要になります。
プレイヤーが異なる町やダンジョンを訪れる際に、「今、自分はどこにいるのか?」が把握できることは、ゲームの中での経験をより深く覚えやすくなります。これにより、プレイヤーは物語の流れを追いやすくなり、探索や冒険をより楽しみ、ゲームの世界に没入しやすくなります。
制作者にとっても、場所が可視化できるので自然な流れでストーリー展開が考えやすくなるのもメリットです。
マップ制作では、ストーリーに基づいて地点の名前や設定を考えるとともに、地点の位置も把握できるよう記述しておきましょう。そうすれば、プレイヤーがあなたが作る世界観を理解でき、充実したゲーム体験が得られます。
まとめ
このように、マップとストーリーの同時進行は、プレイヤーに新しい発見や冒険を提供できます。
また、ゲーム制作者は効率的に制作でき、より深い世界観を作れます。プレイヤーと制作者の両方にとって、マップとストーリーの同時進行はゲーム体験の豊かさをアップさせます。